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ひとなつの



3年の夏、須藤衛 (すどう まさる) は鎌鞍学園への編入手続きを済ませた。
幼い頃に住み慣れたこの街は、離れてから4年半経つのに変わってはいない。

「マサルって、まだあの人のこと、HERO だなんて言ってるんだ」
団地仲間の同い年、幼なじみの 有栖川巴梨 (ありすがわ えり)、 通称 “ありす” が幼き頃の良き思い出を、しらけた口調で貶すのは、テニスで思うような結果が出ないからだ。

「相変わらず涙もろいし子どもっぽいのな。 いい加減大人になろうぜ、マサル」
同じ名前の腐れ縁、桃谷賢 (ももたに まさる)、 通称 “モモ” は、同い年のくせに妙に大人びた声で、4cm上から見下ろすように言う。
そんな彼の興味は、当時の記憶よりももっぱら体育祭でのフォークダンスのお相手だ。

「HERO? ドラマか何かの? あ、今はセンセって呼んでね」
近所のお姉さんで音楽教師の 小野寺海雪 (おのでら みゆき)、 通称 “みゆき姉ちゃん” は、体育祭の副指揮を任されたことに有頂天で、思い出す気すらないようだ。

4年半。 誰も変わってはいないはずなのに
どこか、何か、変わっている。

「まもなく体育祭です。 限りある日数、協力して最高の体育祭にしましょう」
人気No.1の校内放送番組でパーソナリティを務める 志水亜子(しみず あこ) のそのフレーズが、あの頃を呼び起こさせる。

彼に教えてもらった海風が通る灯台で、幼い頃に何度か遊んだ友達の妹、通称 “泣き虫小モモ” の 桃谷千春 (ももたに ちはる) が、左手の薬指を触りながらつぶやいた。
「HERO はいるのでしょうか?」

少し、くじけそうになっていた。
でも取り戻したい、ただそれだけを願って――――

この街には、HERO がいる。

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| 2014.02発売 | 02:38 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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さくらさくら FESTIVAL!



この期に及んで、まだ選べない!? 愉快な三角関係、カムバック!

麟特学園2年生・稲葉徹は、この期に及んでまだ悩んでいた。
学園と寮の境目なく、異性に対する明らかな好意を持って徹の世話を焼く担任教師兼寮母の桜菜々子。
クラス委員や美術部副部長といった職権をためらいなく徹との密会に利用する、クラスメイトの桐島さくら。

そんな二人の “さくら” と彼の三角関係に巻き込まれてきた周囲の我慢も、限界に達しようとしていた。
今日明日にでも決断をしなくてはならないところまで追い詰められた徹へ差し伸べられた最後の執行猶予は、余命幾許を自称する、少女の願い。

「その日結ばれた男女は永遠の愛を約束される、麟徳学園文化祭の伝説。
  もし、最後の時間に間に合うのなら、私も好きな人に、告白したいな……コホッ、コホッ」

麟徳学園文化祭は、文化部と運動部の対立など様々な事情によって、毎年企画はされるものの、開催まで漕ぎつけることはない幻の文化祭となっていた。

いかがわしい少女の願いを叶えるために、あわよくば自分も伝説の恩恵を授かるために、
稲葉徹は、文化祭実現と文化祭当日までに “どちらか一人を選ぶ” 決意をする。

春は、桜色の季節が終わりかけた頃。
お人好しかつ不純な男を好きになってしまった二人の “さくら” の、愉快で悩める三角関係は、まだまだ続く。


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| 2013.04発売 | 06:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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